2009年 04月 25日
組手の為に…「打たれ強さ&慣れ」
このカラテを続けている限り「組手に強くなる&上手くなる」ことは、一つの目標そして指針でもある。
そのために世に言う、さまざまな理論付けや考え方、そして鍛え方は数多ある。その多くは、人それぞれの考え方であり方法論でもある。 人が良いと思える方法でも、自分には合わないことは、間々あるものと知らされるときでも、あります。 元来、打たれ強い人というのは、いるものです。 身体の細い太い(筋肉質)にかかわらず…打たれ弱い身からすると大変羨ましくもあるものです。 この競技(組手)に身を置いている限り「打たれ強さ」=「打たれ慣れ」は、避けては通れない事柄です。 しかし、だからといって「バリバリ」に筋骨を固めてしまっては、何にもなりません。理想は「生ゴム」のように弾力のあるしなやかな筋骨となりましょうか…。 「技を出すためには、脱力をしていなくてはならない。それをもって技に瞬発力を与える」とは、よく聞くことです。 そして、この打突の瞬発力と打たれ強さという相反する命題を心身に求めなくてはならない所が、一つの難しさとなります。 その答えの一つに「補強」という鍛錬があります。 確かに一面、補強はその名のごとく身体の筋力強化と持久力の強化維持があります。 しかし、本来の目的は、他の稽古同様、鍛えた果てにある「脱力」にあると感じております。息が上がり、腕も脚も満足に力の入らない程に鍛え、それから正しい姿勢での稽古をすることによって得られる力みの無い状態を感じること。そして、組手にあって相手に打たれる感覚を身をもって知ることによって「あること」を感じとっていく。 それは「身の瞬発力」というものと捉えています。 打たれる刹那、自然と「締める」ことが容易に成る。ふだん力んでいては満足に締まらない身体も、疲弊した身体は本当の防御(半ば本能)としての「締め」を行うことが出来るモノ。 組手とは、時として乱打戦、相打ちの攻防が続くものです。 打たれながらも、揺るがない身体と部位をもつ。それも、瞬発力として攻防に現せなければ、なりません。 相手の攻撃に一々「固まって」いては、こちらの攻撃は二の手になり、相手に避けられてしまう道理が厳然とあります。 意識して元気なときの「締め」などは、そう役に立つものではありません。それより打突の最中、息も乱れている刹那に出来ることを稽古、鍛錬の基本としなければなりません。 100%受けきれるのが、理想ではありますが、それに到達するまでに通過しなければならない大切な「技」だとも思っています。 その打たれ強さの補強法の一つとして考えたものが、実は「ミット持ち」なのです。 相手の攻撃をきちんとぶれない、ずらさないように「受ける」ミット持ちは、実は「打たれ慣れ」の一つの稽古なのです。ミット越しにでも、相当な圧力と威力を感じるとき、人は「打たれる疑似体験」をしていると考えています。ですから、ミットを受けるのも大切な稽古。 そして、ミット目掛けて打突をする側も、相手を倒す勢いで行う…。 時としてミット越しにでも、悶絶しかけている人達も、なくはないですが、それも大事な鍛錬だと思って下さい。 …確かに上級者同士のミット稽古は「潰し合い」の様相を呈しますが、そこは流石に上級者ですね。笑ってこらえています、というか笑う他無い、自然にこんな時は笑ってしまうのかもしれませんね。 そして、十分な「打たれ慣れ」を経た後、人は「自信」を少しずつつけていけるものです。打たれることの恐怖心を真正面から受け入れる心身の鍛錬、そこに「次」を、やる人達は、確実に身につけていけるものだと思っております。 百の理屈より一つの打突…そこに私達のカラテの「理」が確かにあります。ちなみに相手に向かって(例えミット越しにでも)思い切り打突を繰り出している私達は、知ってか知らずか「ストレスの解消」を行っているのかもしれませんね。健全と言えば健全と言えなくもない…やらない人から見ると相当「不健全」に見えるかもしれませんが
by katsumi-okuda
| 2009-04-25 02:12
| 稽古日誌
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プロフィール
武道歴四十余年。主たる武道極真カラテ。昭和の名人・達人に薫陶を受け現在、私塾教育経験を活かし新たな指導法を展開。自らも日々稽古を続け、理論と実践の合一を目指しています。
道場指導以外にもスポーツクラブでのカラテ普及に努め、今まで空手に縁のない人たちに空手や武道の良さを知ってもらっています。 カテゴリ
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