2008年 01月 26日
理想の蹴り
「歩きながら蹴る。歩くように蹴っていく。」
これは、懇意にさせて頂いているキック界の重鎮、藤原敏男先生の言葉です。特に始めて間もない人達に簡単に下段蹴り(ローキック)を説明する時にそう仰るそうです。なかなか言い得て妙です。体重の移動を説明するとそういう方が、わかりやすいと思います。 理想的な蹴り方とは、一体どんな蹴り方になるでしょうか。それは、やはり実戦の場でいかに相手に悟られずどのような体勢からでも威力のある蹴り方ということになるでしょうか。当たり前ですが、言うは簡単、行うは難し…です。 ちなみに最も自然に威力を出せる蹴りの一つに「前蹴り」があります。歩く様のまま誰もが、蹴る行為を示す時、その蹴りになると言われています。 見た目が派手なせいか、回し蹴り系のほうが、威力があるように思われます。ですが、相手に最短で蹴る事が出来、身体操作の自然さから言えば前蹴りは、最も威力と効果のある蹴りと考えられます。 事実、相手の下段蹴りに合わせて前蹴りを軽く当てるだけで相手は、鑪を踏むか大きく後ろに仰け反ります。 「階段を上がる時、みんなどうやっている!?」 子供達にそんな質問をします。みんな一斉に?な顔します。 階段を上がる時、人は、上体を正面に向け膝を上げていきます。上体を捻りながら膝を上げる人はいませんね。そして、その姿こそが、蹴りの基本なのです。上体を捻らず崩さず身体の中の力(インナーマッスル)を活かし、脚を上げること。 蹴りの大部分は、その膝の上げ方にあります。 そのために柔軟性は、かかせませんが、動きのある柔軟性も大事となります。そのために基本や移動そして型等で造り上げていくことが、必要となります。また、体重移動と荷重の為の柔軟な股関節と骨盤の動きも見逃せません。その部分が固かったり、無理があると、どうしても相手に悟られ易い「テレホンキック」になってしまいます。ふだんから自然な柔軟が出来るようにしなければなりません。 その蹴り方は、その時に応じていろいろに蹴り分けます。 これは蹴り全てに言える事ですが、その自在さがなければ実戦では、使えない効果のない蹴りになってしまいます。 私は「蹴り込む」「弾く」「蹴り抜く」等を使い分けていきます。特に突きの当たる間合いからの「前蹴り」は、効果的な為に膝の上げ方から体重ののせ方、そのための骨盤の可動と自在さを造る為の稽古はかかせません。 私が前蹴りの基本(移動)のとき、注意を払う事があります。それは軸足の返しです。前足が軸の場合、蹴り足(後足)が、軸足を通過するまで軸足を開かないようにしています。 何故なら体重の速やかな「悟られない」移動と荷重、そのために脚の内側を活かした(結果、内転筋等が強化されます)動きは、必須となります。 滑らかで威力のある蹴りをいつ何時でも、どのような体勢からでも蹴れる事。いつも稽古は、そのことを意識し続けております。同じ稽古をしているようで毎回思考して稽古に臨む…特に近年は、その思いは強いモノがあります。 年のせいにせず、自身の技の未熟さを知るため、そしてそれを少しでも深化させるために今のその稽古はあると思っています。
by katsumi-okuda
| 2008-01-26 03:25
| 稽古日誌
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プロフィール
武道歴四十余年。主たる武道極真カラテ。昭和の名人・達人に薫陶を受け現在、私塾教育経験を活かし新たな指導法を展開。自らも日々稽古を続け、理論と実践の合一を目指しています。
道場指導以外にもスポーツクラブでのカラテ普及に努め、今まで空手に縁のない人たちに空手や武道の良さを知ってもらっています。 カテゴリ
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