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武道カラテ稽古日記

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基本を「組手」に活かす 3

  避けて通れぬ命題「基本」と「組手」の狭間

 前述したように競技・実戦(喧嘩・護身)に関わらず、そこには「綺麗ごと」は存在しません。因って第一に「基礎体力の強化・維持」つまり、最低30秒前後の無酸素運動をこなし、2分以上にわたってそのパフォーマンスを失わないだけの有酸素運動がこなせ且つ速やかな体力の回復が行えること。(心肺・筋持久力)
 第二に、自身の資質に沿った適正な筋力トレによって培われた「打たれ強さ」と打撃力の強化。加えて各部位の強化を怠りなく行っていること。
 第三として「技の修得及びその正確性」。幾度となく述べていますが、人は、簡単には倒れません。まして鍛えている同士の打ち合いにおいて有効な角度・力の入力を無視したかのような「殴り合い」にあって、その優劣は体格・体力的な次元の低い戦いにしかならなくなってしまう。「基本」から生み出される的確な「技」の操作によってのみ相手を「倒す」ことが可能であることを知るべきです。
 そして、これらを真に自身のモノにするために、ふだんから「精神性の高さ」つまり「平常・平生心」を養うことです。
いついかなる場合にあっても自在・最適な技と力を出せるよう日々の稽古そして日常で造り上げていかなくてはなりません。
 人は、些細なことで「心乱す」ものです。
それが、試合や火急時にあって「心」は、不安・緊張・高揚してしまうものです。そのような状態を否定することなく正しく受け入れられる「心身」を整えていくことは、全てに通ずるものだと言うことを忘れないで下さい。

 命題として「極真カラテの基本と組手が、違い過ぎる」「基本を使って戦っているように見えない」というもの。
 確かに競技にあって、その戦っている姿からは、「基本」を想像し難いものがあることは事実です。これまでにも述べたように競技そものが進化していく過程でその戦い方は変貌してきています。そのことについて私も否定もしませんし批難もしません。競技に勝とうとすればするほど有効且つ合理的な手法が、とられることは何も私達の世界に限ったことではないのですから…。

 私は、これまでの経験則からその元に流れているものを考えていきたいと思います。
表面的には全く異質なものでありながら、その根底にあるもの、そして意識せずに使われているものこそ「基本」だという武道の原則を踏まえ考察していきます。

 組手において大切な要件としていくつかあげられます。
前述した外的な要件以外ということになりますが、それは、当たり前のことなのですが「相手」がいるということです。「相手」がいることによっていくつかの大切な要件が存在してきます。
 それは一つに「目付け」そして「間の操作」加えて「呼吸もしくは呼吸力」などがそれに当てはまります。
 それらを競技・実戦の場で使い切るということは、確かに至難の技であることは周知の事実。しかし、それを意識しなくてはいつまでたっても先の「一歩」が踏み越えられないのも事実なのです。
 そして、それらを修養していくに有効かつ合理的な稽古こそが、実は「基本」なのです。例えば、ふだんの稽古の最中からしっかりと相手を見る事。号令に合わせ、相手に合わせて動く「移動」や「型」、そんな些末なその姿勢でさえも、相手の隙を図り瞬時に攻防を行える神経を造ることに大変優位に働くことを知るべきです。
 
 「目線」が少しでも下がれば上段の攻撃は、見ずらく、気道は狭くなり大切な呼吸も間々ならなくなります。また逆に高揚し過ぎて上を見過ぎても今度は、下から這い上がってくる攻撃に対処出来なくなってしまう。攻防の最中、適切な「姿勢」から生まれる揺るぎない「構え」にあって斯様に「目付け」どこを見ているかは、重要になってくるものなのです。

 実践としては、目に力は込めず相手の口元から両肩の稜線を望む見方をお勧めします。あまり相手の目ばかり見ていると今度は、それに惑わされる結果となります。ごく自然に、そして相手の攻防に瞬時に反応するよう心がけ鍛練してみましょう。そうすることで肩で始動するすべての技の起こりをとらえやすくなります。特にモーションの大きい突きや蹴りに対して大変有効ですので稽古を怠りなく行って下さい。
 よく言われることですが、一つにこだわり「目付け」が、そこで滞ることのないようによくよく稽古すべきですし、揺るぎない「目付け」を行えるだけの「体力」の強化も忘れてはなりません。攻防の際、激しい打突によって視界は、揺れます。それによって脳も揺れていきます。無意識に身体は、危険と判断し心身を硬直させてしまい防戦一報になっていき劣勢になってしまいます。そのダメージを少しでも軽減出来るよう「心身」の強化は行うべきなのです。
 次回は、その「目付け」とも関係の深い「相手の読み」つまり「間の取り方」そして武道で言うところの「作り・崩し」について順次述べていきます。
by katsumi-okuda | 2005-04-22 16:11 | 評論